2011年11月26日土曜日

5年間オスグッドに悩んできた中学生バスケットマン①

小学4年生のときからバスケットを
はじめたHくんは、今まで一度も、
全力でプレーできたことがありません。

なぜなら、その直後に、オスグッドという、
膝のお皿の下の当たりがボッコリと腫れて、

屈伸するだけでも激痛がはしる症状を
発症してしまったからです。

Hくんは病院で、

「これは成長痛だから、大人になったら治る。
それまで上手に付き合いながら練習しなさい」

と言われて、サポーターを付けながら、
膝が痛くなる練習はひかえながら、

実に5年間も全力でプレーすることが
できなかったのです。

HくんがFMTにはじめて来院したときは、
膝を完全に曲げて屈伸をすることが
できませんでした。

オスグッドは成長期の子どもたちに多い
スポーツ障害のため、成長痛などと
言われることがありますが、

それは実に「ナンセンス」です。

現代の西洋医学ではオスグッドの原因も、
有効な治療方法も確立されておらず、

湿布やサポーターで痛みを軽減させながら、
安静にしながら、自然と痛みが引いていくのを
待つしかないのが現状です。

Hくんの場合も、医師が、
「痛みと付き合いながら練習しなさい」
というのは言い換えると、

「私には治すことができないから、
練習しながら、自然と治るのを待ちなさい」
と言っているのです。

決して医師を批判しているわけでは
ありません。

医師も毎日、助けを求めて来院される
患者さんに何の有効な治療を施すことも
できずに、苦しんでいるのです。

しかし、オスグッドには原因があります。

その原因に対して正しく働きかけをすると、
痛みは早期に回復していくのです。

Hくんの場合は、初回の施術で
完全に下まで屈伸をすることが
できるようになり、

その後、数回の施術のうちに、
腫れている部分をグイグイ押しても、
ほとんど痛みが出なくなりました。

普通なら練習に復帰しても、
痛みが戻ってこなければ、
これで「施術終了」です。

ハッピーエンドです。

けれども、Hくんの場合は、
ここからが大変でした。

Hくんは5年間も痛みをかばいながら
練習をしてきたために、

無意識に痛みをかばうような
体に負担をかけてしまう動作が
クセづいてしまっていて、

いざ練習に復帰しようとすると、
すぐに痛みが戻ってきてしまうのです。

しかも、Hくん自身も、
「また再発したらどうしよう」
という恐怖があって、

痛くないのにもかかわらず、
軽くジャンプをするのも、走るのも、
恐る恐るでないとできないのです。

実際、Hくん以外にも、長期間ケガで
苦しんできたアスリートの中には、

痛みをかばう動作やケガへの恐怖感が
抜けなくて、復帰に時間がかかることが
少なくありません。

医師の曖昧な診断、

症状の原因を見ずに痛みだけに
フォーカスした対処療法、

子ども本人の「痛くても練習をやりたい」
「試合に出たい」という気持ちが
優先されてしまうこと、などが、

痛みの原因を複雑にしてしまうのです。

Hくんは施術開始から1か月程度で
痛みがほとんど出なくなったのですが、

その後、練習するたびに痛みが戻ってきて、
すでに5カ月も通院しつづけています。

そのような子どもたちには、
痛みをかばう動作を根本的に
改善していくために、

初動負荷トレーニングを勧めています。

このトレーニングは筋肉と神経の関係を
改善させて、筋肉を柔軟にしたり、
動作を修正する効果が期待できます。

FMTの施術で痛みを早期に軽減させたら、

その後はケガの再発を防ぐために、
動作のクセを修正するのです。

以前もオスグッドで悩んでいた中学生が、
初動負荷トレーニングを始めてから、

痛みが全く戻らなくなった上に、
運動会で誰よりも早く走れたと
喜んでいました。

単に再発防止のためだけではなくて、
体に負担が少ない、効率の良い動作方法を
身につけることができるので、
パフォーマンスUPにもつながります。

しかし、Hくんのご家族に
初動負荷トレーニングを提案してみたところ、
何やらしぶっているように見えました。

お金も時間もかかることですから、
私たちも無理に勧めることはしません。

けれども、やはり再発を繰り返してしまう
現状に、再度、提案してみたのでした。

するとHくんのお母さんは、

「私はもし息子がやりたいと思うなら、
やったらいいと言っているのですが、、、」

と、どうやらトレーニングをしぶっているのは
Hくん本人のようなのです。

Hくんのお母さんはバスケットの指導者を
されていて、息子さんがケガから
復帰できるのを何より期待されているのです。

お母さんは息子さんがトレーニングを
やりたがらないのは、面倒くさがって
いるからだと思っていたそうです。

しかし、その後も話をつづけているうちに、
Hくんが意外な理由を口にしました。

つづく

中村 宇博


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