2012年9月16日日曜日

治療に来るたびに体が痛くなるんです

「ここに治療に来るたびに体が痛くなるんです」

これは患者さんからの
クレームではありません。

YさんはFMTに施術に来るたびに、
体中の痛みがどんどん増してくるのだ
そうですが、むしろ嬉しそうにしています。

痛みがひどくなっているのに、
嬉しそうなんて、不思議ですよね。

でも、Yさんにも、私にも、
確信していることがあるのです。

「私、先生に施術してもらってから、
今まであったいろいろな出来事が、
どんどん思い出されてくるんです」

施術をすると過去にあったトラウマや
蓋をしていた嫌な思い出が、自然と、
思い出されてくることがあります。

自宅でワンワン泣かれたそうです。

そして、気付かれたそうです。

「こんな体になったのは、
今まで感情を押し込んできたからだ」

それから2週間くらいは、
ダルいし、体全身が痛いし、

布団から起き上がるのも辛くて、
ずっと寝ていたそうです。

また新しい痛みが出てくるたびに、

「そういえば、ここは
あの時に痛めたところだ」

と思い出されるのだそうです。

この不思議な一連の反応は、
体の自然な反応なのです。

Yさんは前の旦那さんから、
ひどい暴力を受けて顔面を
骨折することもあったり、

娘さんと大げんかをして、
お皿を肘に投げつけられたり、

様々な体の痛みがありながらも、
旦那さんのご両親の介護をしてきたり、

など、その度に問題を解決するのではなくて、
感情を押し込めて、痛みに耐え、
ガマンをして、対処をしてきたのだそうです。

でも、全ての痛みや感情は、
記憶となって、体に残っていたのですね。

施術を受けると、今まで抑えこんていた
感情やガマンをしてやり過ごしてきた痛みが
外に出てきて、顕在化してきます。

臭いものを蓋をしつづけることは
できないのです。

それらの感情や痛みと向きあって、
解決をしていかない限り、

本当に問題を解決したことにはなりません。

Yさんにとっても、それが分かるので、
今、痛みが出てきていることが、
とても嬉しいのだそうです。

何とかそれに向きあって、
解決をしていきたいのだそうです。

「もう無理ができないくらい
悪くなってよかったです」

とおっしゃっていました。

YさんはFMTに向かう車の中で、
自然と痛みが増してくると言います。

体がそれを望んでいるのかもしれませんね。

痛みは体からのSOSサインです。

悪いことに捉えられがちですが、
体はあなたに必死にサインを
送っているのですよ。

ガマンせず、押し込めないで、
その意味をしっかりと
受け止めてあげてください。



あの人が一番感じがええわ

「最近、あの感じのいいお姉ちゃんを
見とらんけど、辞められたの?」

と尋ねられました。

「お姉ちゃんって、誰ですかね?」

よく話を聞くと受付の末岡のことでした。

お姉ちゃんと言っても40代の女性です。

80代のMさんからすれば、
40代でもお姉ちゃんなのです。

私にとっては母と同い年くらいですから、
お姉ちゃんでは全然ピンときませんでした。

(末岡さん、悪気はないんだよ。ごめんね)

「あー!末岡のことですか!
今日は事務所の中にいるんですよ。

いつもMさんが来られるときは、
末岡の休みの日が多かったから、
会われてなかったんでしょうね」

すると、

「あの人が一番感じがええわ。

先生、ここは病院とは違うでよ。
ああいう明るい人がおらんといかんよ」

とおっしゃったのです。

少し「ドキッ」として反省をしました。

本当にそうだなと思ったのです。

最近、患者さんの予約が増えて、
施術家も、受付のスタッフも、
あわただしくしていることが多いです。

本当はもっと患者さんといろいろな
お話をしたいと思いながらも、
なかなかそういかない現状です。

「お大事にしてくださーい!」

と玄関まで通るように大きな声で、
見送るものの、なんだかこちらも
寂しい気持ちにもなります。

本当は直接、顔を見合わせながら、
見送りたいものです。

Mさんは月に1度のペースで、
施術を受けに来られています。

きっと施術を受けることだけではなくて、

スタッフと話をすることも楽しみにして
くださっていたのだなぁと思うと、
ちょっと切ない気持ちになりました。

どちらかというと一般的な接骨院や
マッサージ店と比べて、

当院は「ケガや病気を治す」ことに
真剣な患者さんたちが集まっていて、

施術室も静かで、落ち着ける雰囲気が
ただよっています。

心地よい音楽と、香りがただよっていて、
待合で眠ってしまってしまう患者さんも
少なくありません。

そのような雰囲気を大切にしながらも、

でも、本当は私たちも患者さんといろいろな
お話をしたいと思っているんですよ。

受付にスタッフがいるときには、
遠慮なく相談をしたり、
話しかけたりしてくださいね。

中村 宇博