2012年7月7日土曜日

親には迷惑をかけているから恩返ししたい


「親には迷惑をかけているから、
働くようになったら恩返ししたいです」

大学3年生の患者さんの言葉です。

こんなことを言われたら、
ご両親は涙を流して喜ばれるでしょう。

彼は部活動の練習中に足の裏を痛めてしまって、
3ヶ月近くまともに歩けていない状態でした。
現在は徐々に回復をしていきています。

彼は当初、決して安くはない
当院の施術料(1回5250円)を、
バイトして貯めた貯金を切り崩して、
自腹を切って通っていたのですが、

そのお金も底を尽き、ご両親から援助を
受けるようになったのだそうです。

すでに15回以上通院しているので、
結構な金額になります。

「うちは余裕のある家じゃないから、
正直キツイと思うんです」

自分のせいで両親に負担をかけていることが、
とても気がかりなのだそうです。

子どもはご両親の何気ない「うちはお金がない」
という言葉を聞いていたり、

何となくそんな家庭の状況を感じているものです。

以前、別の患者さんなのですが、

順調に回復をしてきていた学生さんが、
親御さんに「もういいよ(通わなくても)」
と不機嫌そうに言うのです。

「まだ痛みが残っているのにどうして?」

とお母さんが問いただすと、

「だってお金がかかるでしょ?迷惑かけたくないもん」と。

お母さんは「エッ」と驚いた表情をして、
目に涙を浮かべていらっしゃいました。

複雑な想いをされたことと想います。

私は息子さんに、

「君の気持ちはよく分かるよ。
お母さんも、そうやって気遣ってくれるのは
嬉しいと思うよ。

でも、そんな心配はしなくてもいいんだよ。

お母さんはお金のことより、
君が早く元気に部活できるように
なることの方が大事なことなんだから。

それに今は分からないかもしれないけどね。

お母さんも、お父さんも、君にそんな想いをさせて、
いろいろなことをガマンさせてしまっていると思うと、
とても悔しいし、情けない気持ちになるんだよ。

だから、そんなことは言ってはいけないよ。

もし、迷惑かけてしまっていると思うなら、
一刻も早く治る努力をすることだよ。

そして、いつか大人になって働くようになったら、
うんと恩返ししなさい」

と言いました。

結局、彼は、その後、
完全に痛みがとれるまで通いつづけました。

こんな健気な患者さんには、
「もうお金なんていりませんよ!」と
言ってあげたいところですが、

そういうわけにはいかないので、
お金ではない価値で返すようにしています。

冒頭の彼はもうすぐ就職活動を始めるそうなので、
こんな話をしました。

「例えば、同じ仕事の内容で、
同じ休みをもらえる2つの会社があるとするよね。

両方とも同じような知名度で、
同じような売上をあげているとするよ。

他の条件がほとんど変わりなくて、
でも、もし、給料に差があるなら、
絶対に"給料の安い会社"を選んだ方がいいよ」

つづく、、、

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