2012年6月8日金曜日

練習を休んだ方がいいですか?


「練習を休んだ方がいいですか?」

初診の患者さんの施術が終わった後に
こう質問をされることが多いです。

「練習をやりながら治しましょう」
とお答えしたら、

患者さんは喜ぶかもしれません。

できるなら練習を休みたくない
という気持ちはよく分かります。

練習を休むことは勇気がいります。

先生や先輩、チームメイトからは、
サボっていると見られてしまう
可能性があります。

本当はそうではないのに。

自分の気持ちを分かって
もらえないのは辛いことです。

今まで練習をしてきたことが、
無駄になってしまうかもしれません。

練習できない間に周りの友達が
どんどん上手くなっていって、
差を付けられ、

レギュラーを奪われてしまう
かもしれません。

皆が練習をしている様子を
ジッと見学しているだけなのは、
とても辛いことです。

ガマンが必要です。

それなら痛みをガマンしながら、
練習をした方がいいんじゃないか
と思うかもしれません。

せっかく練習を休んでケガを治しても、
下手になってしまうんじゃ意味がない
と思うかもしれません。

しかし、そもそも、
「練習を休んだ方がいいですか?」
と質問をしている時点で、

本当はそうした方がいいと
当人も分かっているのだと思います。

私もアスリートだったので、
そのような患者さんの気持ちは、
とてもよく分かります。

本当は練習をやらせてあげたい
という気持ちもあります。

でも、私たちは休みが必要だと
判断した患者さんには、

「練習をやりながら治しましょう」

とは絶対に言いません。

患者さんに好かれたいなら、
そう言えばいいのかもしれません。

でも、そうはしません。

患者さんから嫌われても、
うるさい奴だと思われても、

「練習を休んでください」

と言います。

そうした方が本人のためになると
心の底から信じているから。

その場とても嫌な気持ちになっても、
ガマンを強いることになっても、

そうした方がケガの治りも早いし、
結果的に早く練習に復帰できます。

痛みをガマンしながら練習をする
ことはできるかもしれませんが、

そうだとしても全力で練習をする
ことはできません。

どこかで痛みをかばった動きが
入ってしまったり、

本人もひどくならないようにと、
無意識に手を抜いて練習をするので、
絶対に上手くなれるはずがありません。

ケガが治ったら"思いっきり"
練習ができるようになります。

早くそのような状態に
戻してあげたいのです。

「休むこと」も練習のうちだと
分かってほしいのです。

ですから、私たちは患者さんの
色々な気持ちを分かった上で、

「練習を休んだほうがいいです」

と言います。

お子さんがケガをされている
ご家族の方にもお伝えしたいのですが、

本当にお子さんの将来のために
なると思うことがあるなら、

そのときには本人の感情を
無視することになってしまっても、

言うべきことは、
ちゃんと言ってあげることが、
本当の優しさだと思います。

取り返しのつかないケガをして、
練習を長期に渡って休まないと
いけなくなったときに、

後悔するのは本人なのですから。

中村 宇博

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